札幌高等裁判所 昭和33年(く)2号 決定 1958年2月11日
少年 S
附添人 弁護士 鎌田勇五郎
主文
本件抗告を棄却する。
理由
本件抗告申立の理由は、抗告人提出の抗告申立書記載のとおりであるから、ここにこれを引用する。
よつて按ずるに、少年に対する保護処分に対する抗告申立の方式に関し、少年審判規則第四三条第二項は、「抗告申立書には、抗告の趣意を簡潔に明示しなければならない。」と明規しているのでこれに違背するにおいては不適法とされねばならないのであるが、右にいう抗告の趣意とは、少年法第三二条が保護処分決定に対する抗告の理由となし得るものとして限定的に規定する、(イ)決定に影響を及ぼす法令の違反、(ロ)重大なる事実の誤認、又は、(ハ)処分の著しい不当のうちのいずれを抗告の理由として主張する趣旨であるかを看取し得るか又は少くともこれを容易に推知し得る程度の具体的な事実の主張や意見の開陳を意味するものと解すべく、従つて、本件におけるが如く、ただ漫然と抽象的に原決定に対し不服であるから抗告を申立てるというだけでは、抗告の趣意の明示を欠き、いまだ以つて抗告申立の方式に関する前記規定の定める要件を具備するものとなし難いので、本件抗告申立は不適法たるを免れない。
よつて、少年法第三三条第一項、少年審判規則第五〇条により、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 豊川博雅 裁判官 羽生田利朝 裁判官 中村義正)
抗告申立書
少年 S
右の者に対する少年事件につき昭和三十三年一月十七日札幌家庭裁判所の審判において特別少年院送致となりましたが、不服ですから抗告申立します。
昭和三十三年一月二十二日
右附添人
弁護士 鎌田勇五郎
札幌高等裁判所御中